日下部「父さんの・・・形見・・・・?」
灰間が切なそうに言い、日下部もまた切なく呟く。
日下部「何かの理由で、父さんからもらったの・・・?」
灰間「ああ。親父の奴、どこかの遺跡に行って、
俺にこんなもんを届けたんだよ・・・。まるで、
俺やお母さんと御別れするみたいにな・・・・!」
日下部「お、御別れ・・・・・!?もしかして、
行方不明になったの・・・・?」
灰間「そうよ。あれは俺が小学生の頃だった・・・・。
親父は考古学者で仕事をしていて、
帰らない日が多かった。けど、俺はそんな親父に、
憧れる事があった。休みの日では、
親父はよく幼い俺にどこかへ連れて行ってくれた。」
灰間が語っている間に、場面が灰間の過去のシーンになる。
灰間の父は、
青い色の短髪で顔つきが渋い男そのものであった。
灰間の父は探検隊の服装でどこかの遺跡を探検したり、
普通の服装で幼い灰間と一緒に遊園地で遊んでいた。
日下部「考古学者・・・?もしかして、あんたの父って、
あの有名な考古学者、
【灰間鉄郎(はいだ・てつろう)】じゃ!?」
灰間「そうさ・・・・。俺はお母さんと親父と一緒に、
いつでも暮らす事が最大の幸せだった。けど・・・!」
そして、
灰間とその父・鉄郎が暗いところに立つ場面に変わる。
鉄郎「良いか。翔。今回はちょっと危険かも知れないぞ。」
幼い灰間「ちょっと・・・・危険・・・?」
鉄郎「今度、探検する遺跡は今まで我々人類の歴史に、
ほとんど記されてない時代にあると思われる産物だからだ。
だが、私は決して負けないつもりだ。」
幼い灰間「・・・そうだよね!お父さんは、
絶対に帰って来てくれるよね!?」
幼い灰間は笑顔でそう言う。鉄郎も笑顔で言い返す。
鉄郎「ああ。必ず帰って来るさ!それまで、待ってくれるか?」
幼い灰間「・・・・うん!」
灰間「こうして、親父は未知の遺跡へと旅立った・・・。
俺は信じていた。親父が必ず帰って来ると・・・・。でも・・・!」
灰間は険しい表情をして、拳を強く握りしめた。
過去の時代での、灰間の家の玄関。
中学生になったばかりの灰間。だが、
彼は涙を流していた。その隣には、
母である美由紀も泣いていた。
二人の前には、小さな箱があった。
美由紀「ううう・・・・!あなたァ・・・・。」
灰間「お父さん・・・・。何でなんだ・・・・!
何で行方不明になったんだ・・・・!!しかも、
こんな箱を残して・・・・。」
灰間は悲しげに言って、箱を開けてみる。
灰間「こ、これは・・・・・。」
箱の中には一つのペンダントと、二つの封筒があった。
その一つのペンダントが今、灰間が持っている、
ウルティメイトペンダントであった。
灰間はそのペンダントをゆっくり手に持ち始める。
灰間「何なんだ?このペンダントは?」
そして、美由紀は封筒を持ち、それを開ける。そこから、
二つの紙があり、その一つを灰間に見せる。
美由紀「翔。これ、文章らしいわよ。」
灰間「文章?」 灰間はその文章を手に取り、読んでみる。
文章『翔。すまない。どうやら、私はもう帰れないそうだ。
もうお前の側にいてやる事もできないだろう。だが、
安心してくれ。寂しくならないように、
このペンダントを私の代わりとしてやろう。このペンダントは、
何やら不思議な力を感じるらしい。きっと、
お前に何か素晴らしき力を与えてくれるだろう。
私は信じる。
お前が最高のミラクルマンに成長してくれる事を。』
灰間「ペンダント。これが・・・・?」
灰間はペンダントの方を見る。そして、
ゆっくりとそのペンダントをかける。
そして、現在。
灰間「これが、俺とこのペンダントの出会いだった。」
日下部「きっと、
そのペンダントは鉄郎さんが行方不明になった、
遺跡から発掘した物かも知れないわね?」
灰間「だろうな・・・・。親父はその遺跡で、
何があったんだ・・・・・。今、どうしているんだ・・・!」
灰間は父を想って寂しそうになり、
日下部は悲しそうな表情をする。
日下部「・・・・そろそろ帰ったら?何だか、あんた。
心が寂しそうになってるし。ちょっと、癒えた方が良いわよ?」
灰間「・・・もっと優しく言えねェのか・・・。」
灰間が呆れそうにそう言うと、日下部は少し明るそうに言う。
日下部「あら?優しいつもりですけど?」
大神「とりあえず、叶野。上川。
鉱石のある場所をパトロールしてくれ。
そこで、魔獣の狙いを調査せぃや。奴の目的次第で攻撃しろ。」
上川&叶野「了解!!!」
こうして、灰間は家に帰って行った。今、
灰間は美由紀と一緒に居間で食事をしていた。
灰間「あむ・・・。あむあむ・・・・。」
灰間はご飯を激しく食べていた。そして、水を思いきり飲む。
美由紀「BARの大神さんから聞いてるけど、
凄く頑張ってるわね。
本来なら怪獣と戦うのは大人なのに・・・。」
美由紀は微笑んで、そう言った。
灰間「怪獣じゃねーよ。魔獣だよ。
テレビのニュースでも、
魔獣の事でいっぱいだぜ。魔族の野郎・・・!」
美由紀「そうだったわね。でも、大丈夫よね?
お父さんがくれた、そのペンダントがある限り、
翔に不吉な事が起こりやしないハズだと信じているわ。」
美由紀は灰間がかけているペンダントに向けて、そう言う。
灰間「・・・・まあ。このペンダントのおかげで、
ミラクルマンになれたんだよね。色々と・・・。
お父さんに感謝しないとね。翔・・・。」
灰間「・・・親父が生きてればな・・・・。」
つづく
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