灰間があっさりと答えると、美由紀は悲しそうに言う。
美由紀「何て事を・・・・!何で子供に手を出したの・・・!?
今まで子供には一切、手を出さなかったお前が・・・・。」
灰間「・・・・・あのガキが、魔族だからさ。
・・・つっても、信じてもらえないだろうね・・・・・・。」
灰間が暗そうにそう言うと、美由紀は急に驚く。
美由紀「魔族・・・・っ!?」
灰間「悪いけど、一人にしてくれ。気分が悪いんだ。」
灰間はそう言って、階段を上って自分の部屋へ向かった。
美由紀「まさか・・・!あの魔族が・・・・!
あなた・・・・。私たちの息子が、魔族と・・・・。」
美由紀は震えながら呟く。過去が何があったのだろう。
自分の部屋に戻った灰間はベッドの上で横たわった。
灰間「ち・・・っ!どいつもこいつも・・・・。
何で俺の言う事を信じてくれねェ・・・!俺は確かに見たんだ。
あのチビが魔獣なのがよ。まさか、あの野郎。
俺には正体を見せて、他人には見せない事で、
俺を陥れようってのか!?ふざかやがって・・・・!!」
灰間はあの魔族の少年の事を思い出して、苛立っていた。
ちなみに、BARの隊員服から一般の私服に着替えている。
その時、彼の脳裏に日下部の言葉がよぎる。
日下部の声『あんな子供に暴力振るう奴なんか、信用できません。
BARの隊員に相応しくはありません。』
灰間「・・・・そうだよ。俺みたいな中学生が、
軍人としての務めができるワケがねーぜ。
だから・・・・!む!?」
その時、灰間のペンダントがまた輝き出した。
灰間「また光った・・・!?っ!!やはり、そうか・・・・!!」
灰間はそう言って、表情がさらにキツくなる。
ペンダントは灰間に何を語ったのだろうか。
BAR基地の司令室で、日下部もまた苛立っていた。
日下部「全く、何であんな暴力的な人がいたなんて・・・!
でも、良かったわ。あいつが防衛隊を辞めてくれて。」
大神「まだ、完全に辞めたワケではない。」
日下部「え!?で、でも。彼は自ら・・・。」
大神「灰間は自らBARを抜けた。じゃが、
わしはまだ彼にBARを辞めさせとらんけ。灰間にはまだ、
BARの隊員として戦ってもらいたい。わしの感が、
正しければの・・・・。」
日下部「正しくなんかありません!あいつは、
私と同じ学生のクセして、喧嘩っ早い。
とても、軍人として働けるとは思えません・・・!」
大神「じゃが、わしは信じているき。彼なら、
きっと我々と一緒に戦ってくれる事を・・・・。」
その時、叶野と上川が入って来た。上川が笑顔でこう言う。
上川「隊長!!ついに完成しました!!!」
大神「何!?いよいよできたのか!?
対魔獣メカ、バルワンダーシリーズが!!!」
叶野「はい!!これで、魔族と互角に戦えます!!」
バルワンダー。それは、BARが完成した、
対魔獣用の戦闘機である。3機が存在し、
小型に近いが、機体が正統派に見える1号、
少し大きく大砲らしき武器が2問あるのが2号、
小型で機体が少しだけ細そうに見えるのが3号である。
3機は魔獣との戦いを待つように格納庫で待機している。
上川「これで、魔獣なんか怖くありませんよ!!」
叶野「地球人の科学を、魔族どもに見せてやる・・・!」
大神「おっしゃ!ここからが、本当の戦争じゃき!!」
その頃、ここは夜の東京湾では、
一人の警察が港を警備していた。
懐中電灯を使っていた警察の男が立ち止まる。
警察「・・・・ふむ。うむ。よし。異常はないな!おや?」
警察は懐中電灯の明りで一人の子供を見つける。
その子供は灰間に襲われていた少年であった。
少年「・・・・・・・っ。」
警察「君。ここで何をしているんだぃ?お家は?」
少年「ないよ。それより、飲みたい。」
警察「そうか。じゃあ、ジュースを買ってあげるよ。」
少年「それはいらない・・・・。」
警察「え・・・!?じゃ、何が良いんだ?」
少年「それはね。この港にあるオイルが欲しいの。」
少年は不気味な笑みを浮かべて、そう言った。目が赤く光る。
警察「ひっ!?な、何だ!?君は・・・・!!」
少年「ガアアアアアァァァァァァァァウ!!!!!!」
少年が警察に襲いかかるように、跳びだした。
次の日。朝日が昇ろうとしていた。
灰間は街を走っていた。まるで、何かを探すように。
灰間「あのガキ・・・!やはり、そうだったか・・・・!!」
灰間はウルティメイトペンダントに、
昼間に自分が殴った子供が、魔族である事を伝えられ、
その魔族が暗躍を始めた事をも伝えました。
灰間「何がBARだ・・・!
俺一人だけで魔族どもを倒してやる・・・!!」
灰間は走り続ける。そう。あの少年は魔族であったのだ。
東京湾ではまだ誰もいない。朝が始まったばかりだからだ。
魔族である少年は、
不気味に笑いながらある建物の中へ入って行った。
そこには多くのドラム缶があった。その缶一つ一つには、
オイルが詰まっているのだ。少年はそのドラム缶を掴み、
それに入っているオイルを飲み始めた。
少年「んぐ、んぐ、んぐ、んぐ、んぐ・・・・!べはぁ!!」
少年は全て飲み終えたか、一つのドラム缶を投げ捨てた。
その中にはもうオイルがない。
少年「ああぁぁぁぁ・・・!美味しかった。さて、次は・・・!」
少年はまたドラム缶を掴み、オイルを飲もうとする。その時。
灰間「見つけたぜ!!魔族野郎!!!!」
灰間が入って来た。だが、
少年は気にせず、オイルを飲み続ける。
そして、飲み終えたかオイル缶を投げ捨てた。
少年「ふぅ・・・。ん?あんた、昨日僕をいじめた地球人だね?」
灰間「ああ、そうだよ。あの時はお前のせいで、
酷い目にあったぜ・・・!今度は容赦しねェ・・・・!!」
少年「やってみろよ・・・・!しゃあああぁぁぁぁっ!!!」
少年は口から火炎を吐き出した。
つづく
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