それに気づかず、灰間は子供を殴り続けている。
灰間「さァ!!正体見せろよ!!この魔族!!」
その時、
日下部が背後から灰間を羽交い絞めにして止める。
日下部「止めなさいよ!!子供相手に!!!」
灰間「放せ!!このガキは魔族なんだ!!」
日下部「魔族!?」
日下部は子供の方を見る。その子供は二人から離れて、
怯えそうに、逃げて行った。
灰間「あっ!!魔族が逃げる!!」
日下部「何を言ってんのよ!人間の子供じゃない!!」
灰間「人間じゃねーよ!!あのガキは魔族だ!!」
灰間は日下部から放れて、そう言う。
日下部「どう見たら、あの子が魔族だってわかるのよ!?」
灰間「・・・・あんた。あいつが魔獣に見えないのか?」
日下部「当たり前でしょ!?今、あんたが殴ったのは、
人間の子供よ!!魔獣なんかじゃないわよ!!
あんた・・・。目が壊れてるんじゃない?」
灰間「・・・・・っ!」 灰間はそう言われて、黙り込む。
基地に戻った灰間と日下部は今でも不機嫌そうだ。
大神「ご苦労だったのォ。二人とも。
東京湾付近に異常はなかったかね?」
日下部「はい。一つも異常はありません。ただ、
新人が罪のない子供に暴力を振るったそうなので・・・。」
灰間「俺から見れば、あのガキは魔族に見えた。
俺は確かに、この目で見た・・・。そして、感じたんだ。
あいつが魔獣だって・・・・!俺にはそうわかるんだ・・・。」
日下部「まだ言ってるの!?あんた、子供が嫌いなの!?」
日下部が怒鳴ると、灰間も怒鳴り返す。
灰間「嫌いなワケねーだろ!?
むしろ、魔族って奴が嫌いだ!」
上川「子供に手をあげるなんて・・・・。何て暴力的なんだ・・・。」
叶野「軍人は普通、一般市民には手を出さないつもりだが?」
上川も叶野も、灰間を信じられない様子だ。
日下部「とにかく、私はあの子を普通の人間と見たわ。
あんたが何で、あの子を魔獣と見たの!?」
灰間「それはな、このペンダントが教えてくれたんだ。」
灰間は日下部にウルティメイトペンダントを見せる。
日下部「何よ。これ?ただのペンダントじゃない・・・。」
灰間「このペンダントには不思議な力が宿ってんだ。
俺にもわからないけど、
こいつが魔族の反応をキャッチできるんだよ。」
日下部「はぁ・・・。ありえないわ。ペンダントがそんな事・・・。
隊長。さっそくですけど、この新人をクビにしてくれませんか?」
呆れた感じの日下部が隊長にそう言うと、灰間が驚く。
灰間「なっ!?」 だが、大神や他の隊員は動揺せず。
日下部「あんな子供に暴力振るう奴なんか、信用できません。
BARの隊員に相応しくはありません。」
大神「・・・じゃがのう。日下部よ。わしにとっては、
灰間は魔族と戦える素質を持っとると思うけ。
それに、灰間の母親にも息子が入隊したと連絡したんじゃ。
灰間にはまだ未熟なところがあるじゃろ。」
灰間「・・・・もう良いよ!」
灰間がドス黒そうな声で言うと、大神や隊員たちが動じる。
灰間「俺も最初(ハナ)から、この隊で働く気はねェよ。
そもそも、俺に軍人としての素質なんか全くねェ。じゃ、
さっそくだけど、この隊を辞めるわ。俺一人でも、
魔族どもをぶっ倒してやるぜ・・・・!じゃあな。」
灰間は静かな怒りで司令室から出た。
BARを辞めるつもりだ。
上川「・・・・日下部隊員。少し、言い過ぎじゃないかな?」
日下部「何を言ってるんですか?あいつは、
どう見ても、人間の子供に手をあげていたわ。」
大神「だが、それが少し気になるのォ。」
日下部「え!?隊長、あんな奴の言葉を信じるのですか!?」
日下部は大神が灰間の意見を信じる事に動揺する。
大神「確か、灰間は確かにこう言ったんかいの?
この目で見た。そして、感じたと・・・。灰間が何故、
あの子供を魔族と知ったのか。もしかすると・・・。」
叶野「もしや、灰間には不思議な能力があるのでは?」
大神「・・・そうかも知れないな。その能力は、
魔族の正体を見破るようらしい・・・・と見そうやな。
・・・・ふむ。もし、灰間の意見が正しければ・・・・。」
夕日。灰間は自宅に帰った。そして、廊下では、
美由紀が少し切なそうに、灰間にこう言った。
美由紀「日下部隊員と言う人から聞いたわ。
お前・・・。子供に暴力振るったって?」
灰間「・・・・・まぁな。」
つづく
[0回]
PR