カワタ「ねえ、コリスさん。リムミンさんはね、とっても優しいんだよ。」
コリス「うん。知ってるよ。君たち身寄りのない子供たちを一人で、育てているって聞いたよ。」
カワタ「そう。もし、あのお姉さんがいなければ、親に捨てられた僕は、
今頃どうしていたのかわからなかったよ・・・・・。」
コリス「そっか・・・・。そうだ!君は・・・・どんな夢を持ってる?」
カワタ「・・・・・夢?何・・・・それ?」
コリス「たとえばさ、自分が大人になった何かしたいのかとか・・・・。」
カワタ「・・・・知らないよ。だって、パパとママは僕を捨てる前に教えてくれなかったもん。」
コリス「・・・・・・・そう。」
カワタ「パパとママは、僕が何もできない迷惑ものだと言って、
僕を家から追い出していたんだ。僕は暗い森の中をさ迷いながら泣いていた・・・・・。
このままいけば、僕は何かの獣に食べられて死に、地獄に落ちていたのかも知れない。
けど、そんな僕を救ってくれたの、ただ一人。リムミンさんだったんです・・・・。」
カワタは数年前、両親に家から追放され泣きべそをかきながら暗い夜の森を、
さ迷っていた。そんな幼い彼に手を差し伸べたのはリムミンであった。
彼女の優しき笑顔を見て、カワタは次第に明るい笑顔に満ち、彼女と手を合わせる。
それから、カワタとリムミンは他の子供たちと一緒に家族のように暮らしていたと言う・・・・・。
カワタ「リムミンさんは優しいんだ。子供にならどんな人だって優しくしてくれるんだ。
失敗しても滅多に怒らず、泣いてる子がいたら慰めてくれる。
いつも僕たちに良い方向へ進ませてくれる。僕たちには彼女が必要なんだ!
リムミンさんは僕たちにとって女神様のような存在なんだ。だから、彼女には、
これからも僕たちの側にいて欲しいんだ・・・・。もし、彼女がいなくなったら・・・・。」
コリス「・・・・・いなくならないようにすれば良いんだ。」
カワタ「え・・・・・・?」
コリス「それを夢にすればいいんだ。その夢さえ持てば、
いつまでもリムミンさんと一緒にいられるよ。きっと・・・・・。」
カワタ「夢・・・・。うん!わかった。僕、リムミンさんといつでも一緒にいられる夢を持つよ!!」
コリス「うん。それでいいんだよ^^」
カワタ「・・・・それに、大人になったら何かしたい事・・・・。実はもう決めたんだ。」
コリス「え・・・・?もう一つ夢って・・・。もう決まったのかぃ?」
カワタ「うん・・・・・。それは・・・・・・・・・僕を捨てたパパとママをやっつける事だい!!」
コリス「え・・・・・・??」 コリスはそれを聞いて悲しそうな表情になる。
大人になったら自分を捨てた両親を殺す事・・・。果たして、それは夢だと言っても良いのだろうか?
カワタ「僕は・・・・パパとママを許せない。だから、大人になって力をつけて、
あいつらを倒してやりたい!!僕と同じ子のアクィラ君も、
こないだ、自分を捨てた両親をやっつけるのが将来の夢だって言ったしね・・・・。」
コリス「・・・・・・・そんなの・・・・夢じゃない。ただの欲望だよ・・・・・!」
カワタ「何を言ってるの?大人になったらやりたい事・・・。それが、夢なんだろう?」
コリス「そ、それは・・・・・。」 リムミン「それは・・・・・・?」
カワタとコリス「え???」 リムミンの声を聞いたコリスとカワタは、
いつの間にか、二人の間にいたリムミンの方を向いた。既にパンを持ってきたそうだ。
リムミン「・・・・・パン。持ってきましたよ。他の子供たちも来ます。」
コリス「そうですか・・・・。」 カワタ「わーい!パンだァ!」
リムミンは多くの異なるパンをテーブルの上に置いた。
リムミン「そう言えば、まだ夢と言うものを教えてませんでしたわね・・・・・。」
カワタ「ねえ。リムミンさん。夢ってなーに?」
リムミン「夢・・・・。くすっ。それはね、自分が大人になってやりたい事を意味するのよ。」
カワタ「やっぱりそうか!!僕ね、夢が二つもあるんだよ!」
リムミン「あらあら。どんな夢ですか?」 コリス「・・・・・・っ。」
カワタ「一つ目はね、リムミンさんとずーっと一緒にいたい事!!」
リムミン「まあ。それは嬉しいですわ^^」 コリス「・・・・・・うん。」
リムミンは微笑み、コリスも微笑む。カワタの一つ目の夢は暖かく、素晴らしい夢である。
カワタ「二つ目はね、僕を捨てたパパとママをやっつける事!!!」
コリス「・・・・・・・っ!!」 コリスはそれを聞いて悲しみそうになる。
何故なら、それは夢ではなく只の欲望。殺人と言う名の愚かな欲望である。
リムミン「まあ。それは素晴らしいですわね。頑張って自分を捨てた、
あの愚か者たちを倒してくださいね^^応援しますわ。」 しかし、リムミンは微笑んで認めた。
何故だ?優しいハズのリムミンはそんな愚かな欲望を許すとは。彼女は一体、何なんだ?
カワタ「ありがとう!僕、2つの夢を頑張るよ!!」
コリス「・・・・・・・っ。」 コリスは複雑に思っていた。
カワタの一つ目の夢はともかく、二つ目の夢は果たして許していいものなのか・・・・。
その時、多くの子供たちがこの部屋に来た。この者たちは皆、リムミンに育てられているらしい。
子供たち「リムミンさん!!!」 「リムミンさああぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
子供たちは嬉しそうにリムミンさんに近づいた。リムミンは子供たちに慕われているのだ。
リムミン「うふふ。はいはい。皆の分のパンはいっぱいありますよ。」
子供たち「はああぁぁぁぁぁぁい!!」 「あははははは・・・・・。」
カワタ「リムミンさん!!」 カワタも他の子供たちと同じリムミンに慕っている。
コリス「・・・・・くすっ。」 コリスはその光景を見て微笑むが、何故かすぐに暗そうな表情をする。
そして、夜になった。コリスは教会の外で、シーバーを使ってモモと通信していた。
モモの声『それで、今日はどうだった?』
コリス「はい・・・・。カワタ君と夢について話をしていたけど・・・・。
彼の夢は残酷でした。自分を捨てた両親をやっつけるって・・・・。」
モモの声『そう・・・・。つまり、復讐って事ね。まあ、仕方がない事ね・・・・。』
コリス「・・・・・姉さん。果たして、復讐とは夢なんでしょうか・・・・?」
モモの声『さあね。それは、カワタ君のやりたい事でもあるし。ま、
確かにその復讐とは、場合によっては殺してしまう事もあるから困るわね・・・・。』
コリス「はい・・・・。もし、できればカワタ君を説得してみます。復讐なんかやめさせるように・・・・。」
モモの声『・・・・まあ。お願いするだばさ。今日はもう帰っていいわよ。』
コリス「はい・・・・。」 そして、コリスはロードラッシュでハリーの家へと帰っていった。
そして、施設には、ある一つの部屋があった。それは多くの子供たちが寝ている、
いわば寝室であった。その中でカワタも布団の中で寝ているのであった。
つづく
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