大神「こんなに遅く来るとは、一体どうかしたんかぃ?」
灰間「・・・・それが色々とありましてね。」
日下部「色々って・・・。しっかりなさいよ。
軍人にとって時間は大切なものよ!?」
灰間「わりぃわりぃ。・・・っ!?ところで、こいつは・・・。」
灰間は倒れている怪物もといジャミラの姿に気づく。
上川「この怪物はジャミラと同じタイプ。いわば、元人間だよ。」
叶野「このジャミラになった人間の事だが、
その詳細は全く掴めていない。60年代の時と同じ被害者であるとは、
限らないかそうでないか。詳しくはデータで分析中だ。」
灰間「そっか・・・・。むっ!?」
灰間のペンダントが光る。ペンダントが灰間に何かを教える。
灰間(何っ!?このジャミラっぽい奴は変身させられたってのか!?
しかも、このジャミラと言う怪獣も実は・・・・・!!)
その時、緒川が慌てて走って来て、大神たちに報告する。
緒川「大変です!!分析の結果、意外な事が判明しました!!
このジャミラと同じタイプの怪物には、魔獣反応が含まれています!!!」
大神「何じゃと!!?」 隊員たちは緒川の言葉で驚く。
日下部「まさか・・・!ジャミラと同じタイプの魔獣だって言うの!?」
緒川「ええ。そして、
数分前に宇宙パトロール隊から新たな情報も得ましたが、
あの宇宙飛行士ジャミラが漂流した水のない惑星に存在する、
異常なエネルギーの中に魔獣と、
同じエネルギーも含まれているとの事です!!!」
上川「まさか・・・!ジャミラは怪獣ではなく、魔獣だって言うの!?」
緒川「情報が正しければ、恐らくそうかと思われます・・・!しかも、
今回ジャミラと同じ怪物にされた人間の詳細ですが、彼は、
宇宙飛行士ではなく、普通の善良なサラリーマンでした。」
大神「普通の人間が水のない惑星に行って、
ジャミラになったと言うのか!?」
灰間「・・・・っ!そうか。これも魔族の仕業ですよ!魔族は、
人間を水のない惑星に連れて行って、
その人間を魔獣ジャミラに変えたんです!!」
日下部「確かに、魔獣ならやってしまいそうね・・・・!できるなら、
私は人間を殺したくないわ。それを・・・魔族め!」
大神「日下部。その気持ちはわしや叶野たちも同じじゃ。
魔族は次に、人間を魔獣にして、その魔獣にされた人間を、
人質にしようと言う作戦を実行したか・・・!もし、そうだとすれば、
魔族は新たなジャミラを増やし続ける事だろう。
じゃが、我々は負けん!」
上川「もしかして、ジャミラにされた人間を倒すつもりですか!?」
大神「地球を守るためには、それしかなかろう。悔しいんじゃ。
悔しいが、倒すしかないんだ・・・・!魔族から地球を守るために。」
大神は震えていた。怒りと悲しみに震えていた。
日下部「大神隊長・・・・。」 日下部たちも悲しそうになる。
灰間(やはり、ジャミラは魔獣だったのか。
それも、魔族の地球攻撃用の奴隷・・・。
まさか、あの60年代に現れたジャミラも・・・。
いや、それはまだわかんねーか。)
その時、警報が鳴り始めた。事件発生の合図だ。
大神「これは・・・!何か事件じゃ!!」
大神たちは司令室に戻る。上川がモニターを映す。
そのモニターの画面では、街の中央で落ちたカプセルから現れた、
別のジャミラが口からの火炎を吐いていた。
日下部「じゃ、ジャミラ・・・・!!」
灰間「魔族の野郎・・・!次の人間を次のジャミラにしやがったな!?」
大神「出動じゃ!!ジャミラを倒すんど!!」
隊員たち「りょ、了解!!!」
夜の街では、人間と同じ大きさのジャミラが火炎を吐いて、
辺りを火の海にしていた。
ジャミラ「ウウウウウウウゥゥゥゥゥゥッ」
そこに、バルターボが来て、
そこから灰間、日下部、上川、叶野が走って来た。
4人はジャミラの前でバルガンを構える。
だが、上川は悲しそうに震えている。
上川「・・・ほ、本当に撃っても良いのかな。同じ人間を・・・。」
日下部「何を言ってるの!?悔しいけど、
彼は人間から魔獣になったのですよ・・・!」
上川「けど、元々人間なんでしょ!?僕にはとても撃てない・・・!」
灰間「そうだよな。こいつも、
魔族の奴隷にされて、悪意を持ってるワケじゃねーし。
けど、ジャミラにされた人間を救う術は何もねェ。
こいつは悲しいぜ・・・!」
叶野「ならば倒すまで、せめて悪行を成す前に、
安らかな天国へ昇天させる。
そう思って、地球を守ろうとすれば良い!!」
叶野はそう言って、バルガンの銃弾を連射。
これを受けたジャミラは痛がる。
ジャミラ「ウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥッ」
上川と日下部「・・・・・っ!!」 灰間「悪ィな・・・。」
続いて、上川や日下部、灰間もバルガンの銃弾を連射。
ジャミラ「ウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ」
無数の銃弾を浴び続けたジャミラは力尽き、倒れて死んだ。
日下部「ごめんね・・・。天国に行けると良いわね。」
上川「処理班。できるだけ、丁寧に葬ってください・・・。」
灰間(ジャミラ・・・。魔族の奴隷か・・・。考えてみれば、
俺。ジャミラの気持ちがわかる気がするぜ・・・。
俺も福崎の奴隷なんだよな。色んな意味でよ。)
そして、数時間後、自分の家に帰って来た灰間。その時。
灰間「ふぅ・・・。って、何ィ!!?」
灰間は驚いた。自分の部屋に、福崎がいた事に。
福崎は何故か顔に傷が付いて、
少しだけ涙が出ていて、不機嫌であった。
灰間「ふ、福崎・・・・!?お前、何で俺の部屋に・・・!?」
福崎「悪いけど、親と喧嘩して家を追い出された。よって、
今日からお前の家に住む事にした・・・。」
灰間「お、お前・・・!俺の母さんから許可もらったのかよ!?」
福崎「もらってねェよ。っつーか、怖くて、会っていない。
こっそり入らせてもらったわ。」
灰間「こっそりとかよ・・・。もし、見つかったら・・・。」
焦って言う灰間だが、福崎が思い切り灰間の胸ぐらを掴む。
福崎「いちいち文句言ってんじゃねーよ・・・・!俺だって、
好きでこんな事をしたくねェ。でも、しょうがねーんだよ。
追い出されて他に寝れる場所なんてないんだよ・・・・!
これ以上言うと、てめェの正体をバラすぞ!」
福崎は泣きながら怒って、言う。
灰間「わ、わかったよ・・・。お前が気が済むまでそうしてろ。
予備の布団、貸してやるよ。それでゆっくり寝れるハズだ。」
灰間は押入れから別の布団を出す。その間に、福崎が呟く。
福崎「あのクソ大人・・・。偽善者共め・・・!」
これは数分前、福崎が自分の家にいた頃の話である。
つづく
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