日下部(・・・・やはり、ありえないわ。人間が簡単に、
ティアーズを呼びよせる事なんてできない。そう言えば、
灰間隊員。ミラクルマンって言ってたわよね。もしかして、
ティアーズが助けに来たのは、奇跡ってワケ・・・?)
そして、野口も同じく廊下を歩いていた。
野口「・・・・・・・っ。」
野口は何かを思って、黙っていた。そして、ついに。
日下部と野口は互いに近づき、止まった。
野口と日下部「あっ!!!」
日下部「の、野口さん・・・。おはよう。」
野口「日下部さん・・・!探してましたよ。」
日下部「さ、探した・・・?」
野口「はい。あなたにどうしても聞きたい事がありまして・・・。」
日下部「聞きたい事・・・・?」
野口「それは・・・。ちょっと恥ずかしいから・・・。
放課後、屋上で会話しませんか!?」
野口は恥ずかしそうな感じで言う。これを見た、
日下部は何かと戸惑いそうな感じで頷く。
日下部「え、ええ・・・。わかったわ。」
そして、クラスでは、森下と徳丸が灰間と野口の様子を見ていた。
灰間「・・・・・・・っ。」 野口「・・・・っ。」
徳丸「翔ちゃんと野口さん。何だか話してないね・・・。」
森下「うん。きっと、野口さん。浮気した翔ちゃんを許せてないかも・・・。
きっと、そう。だって、昨日まではあんなに仲良しだったんだもん。」
灰間「・・・・・野口。」 野口「ん?何かな。灰間君。」
灰間が普通に話しかけるが、野口は緊張しそうに聞く。
灰間「昨日は悪かったな。行けなくてよ・・・。」
野口「・・・・灰間君は悪くないよ。悪いのは、魔獣だもの。」
徳丸「普通に会話できるみたいだけど?」
森下「あれェ~っ?野口さんって灰間君の事をまだ許せてるみたい。」
野口「・・・ねェ。灰間君。」
灰間「何だよ?」
野口「・・・・・日下部さんとは、うまくやってる?それと、
どう言う関係になっているのかな・・・?」
灰間「・・・別に。同じBARの隊員として働いている仲間。
魔獣と一緒に戦う者同士。ただ、それだけよ・・・。」
野口「そう・・・。そうだと良いけどね・・・。」
そう。灰間にとって日下部とはBARの仲間同士だと思っているのだ。
だが、野口にとって、
その関係の中に最も大きな関係があると言う事を、
疑っているそうなのだ。例えば、浮気とか。
徳丸「日下部さん。何だか元気がないみたいだけど。」
森下「きっと疑ってるのよ。翔ちゃんが浮気したのかを。」
徳丸「そうなの?」
そして、放課後になった。廊下を歩いているのは、
灰間、徳丸、森下の3人だけであった。野口の姿がないが。
灰間「そういや、野口がいねーけど、どうしたの?」
徳丸「そう言えば、一緒じゃないね。何か都合でもあるんじゃない?」
森下「きっと、疑ってるのよ。浮気した翔ちゃんを。」
灰間「浮気?俺がか?」
森下「うん。野口さん。きっと浮気した灰間君とは、
うまく話し合いができないから、離れようとしたんだよ。
いえ、もう浮気したと確信したから、
もう一緒にいられないかと思ったり!!」
灰間「ちょっと待てよ!俺が浮気したって何だよ?」
森下「だって、灰間君。日下部さんに浮気したでしょォ~っ??」
灰間「何!?そ、そんな事してねーよ!?」
森下「だって、男と女って一緒にい続けると、
次第に恋心が湧いてくるって言うし~っ!」
灰間「そんな事、誰が言ったんだ!!」
徳丸「・・・・僕は黙った方が良いかなァ・・・?」
そして、学校の屋上では、野口と日下部がいた。
日下部「約束通り、来たけど。何か話したいよね?」
野口「・・・・日下部さんは灰間君とはどんな関係ですか?」
日下部「どんな関係って・・・。ただの隊員同士だけど?
別に付き合っているとか、そんな破廉恥な関係じゃないから。」
野口「じゃ、灰間君の事をどう思ってますか?
できれば、正直に思っている事を言ってくれれば助かりますが・・・。」
日下部「思ってる事?・・・・・っ。(最近、
灰間に対して思ってる事・・・。)」
日下部は灰間への思いを空想してみる。そして、彼女の脳裏には、
灰間と一緒に行動したり、一緒に戦ったり。さらに、
喧嘩もしたり話し合いもしたり。
そして、彼に助けられた事もあった。
日下部(あいつの事を考えると、何だか温かい感じがするわ。
これって、何なのかな。何なのかわからないけど・・・。)
灰間の事を考えている日下部は頬を少しだけ赤く染めつつあった。
日下部「・・・・私。灰間とよく一緒にいてね。何だか、
彼の事を・・・・大切な存在だと思うようになって来るの。」
野口「そう・・・・。そうなんですね・・・・。でもね、
私にとっては、もっともーっと大切な存在なんです。
言って良いですか?」
日下部「べ、別に良いけど・・・?」
野口「私・・・。灰間君の事が好きなんです。」
日下部はそれを聞いて驚くが、すぐに落ち着く。
日下部「・・・そうね。やはり、灰間君はあなたが似合うかもね。
私にとっては戦う者同士。戦い者同士じゃ恋もできないわ。」
野口「・・・今のうちなら、できると思います。」
日下部「いえ。灰間はあなたの物で良いわ。
どうせ、私には・・・。」
日下部はとても悲しそうな感じの表情になりつつある。
日下部「最初はね、灰間の事をよく拒んだの。
けど、私。気づいたの。
彼ともっと一緒にいたいって・・・。これって何なのかな・・・。
温かくなる気持ち。この気持ちって一体、どんなのかな?」
野口「それが・・・恋なのかも知れません・・・。」
日下部「えっ!?」 日下部は頬を赤く染めて驚く。
野口「日下部さん・・・・。やはり、あなたも・・・・。」
日下部「できれば・・・そんな事は・・・・。むっ!?」
その時、日下部の携帯電話が鳴り出した。
日下部はその電話を使う。
日下部「こちら、日下部!!」
上川の声『ポイント71で魔獣が進行しています!!
至急、灰間隊員と共に基地に来てください!!!』
日下部「わかりました!!・・・野口さん。
ごめん。また魔獣が暴れているから・・・・。」
野口「そうですか・・・。」
日下部「じゃ、行ってくるわ!!」
日下部が走り出すと、野口が呼び止める。
野口「日下部さん!!」 日下部「何!?」
日下部は走りを止めて、野口を見る。野口は切なそうに微笑む。」
野口「・・・・灰間君を、守ってください。」
つづく
[0回]
PR