野口「そうですか・・・。行こっ。灰間君。」
灰間「仕方がねェな・・・・。」
こうして、灰間と野口は大岩や天宮と一緒に、
子供たちと遊びまくっていた。まずは鬼ごっこ。
鬼役となった大岩が灰間を追っていた。
大岩「待たんかぃ!!こりゃああぁぁぁぁ!!!」
灰間「って、何で俺なんだよ!?」
必死に逃げる灰間だが、大岩はついに彼の肩にタッチする。
天宮「今度は灰間さんが鬼ですよおぉ~っ!」
灰間「ちっくしょォ~っ!待て!!てめーらァ!!」
灰間は子供たちを追うが、子供たちは素早く逃げて行く。
男の子A「来たああぁぁぁぁ!!!」
女の子B「にっげろおおおぉぉぉ!!!」
子供たちは楽しそうに笑いながら走って行く。大岩も。
そして、野口は灰間を見て微笑み出す。
野口「・・・・灰間君。楽しそう。」
そう。灰間も楽しく遊んでいたのだ。その証拠に、
顔が少しだけ笑みを浮かべているそうだ。
灰間「そうら!!お前が鬼だぜ!!」 灰間は大岩にタッチした。
男の子B「また大岩のお兄ちゃんだァ!」
子供たちはまた大岩が鬼になったところに大笑いする。
大岩「何でわしにタッチすんじゃ!!こりゃ!!!」
大岩は全力で灰間を追うが、灰間は素早く逃げた。
その微笑ましい光景を野口と天宮が見守っていた。
天宮「仲が良いのですね。あの二人・・・。」
野口「いつも、喧嘩ばっかりしてますけどね。」
天宮「でも、感じるんです。あの二人はとても仲が良いと。
喧嘩をする程、仲が良いと聞きますし・・・。」
BAR基地の司令室に戻った叶野と上川は大神に報告していた。
大神「そうか・・・。また逃げられたか。」
叶野「申し訳ございません。また子供を救出できませんでした。」
上川「それにしても、あの二人組。一体何者でしょうね。
赤いローブと青いローブをしていましたし。身体能力も凄すぎたし。」
大神「あの二人組ももちろん、魔族に違いないけ。
わしが気になるんは、何故魔族が子供を浚っているかの事じゃぃ。」
日下部「もしかして、魔獣の餌にするとかですか?もしくは、
魔獣に変えてしまうとか、ただの奴隷にするとか・・・。」
大神「いずれにせよ、悪い事にしか使わない事は確か。
何としても、あの二人組を捕まえて、子供たちを取り戻すんじゃ。
決して、奴らの好きにさせるんやないど。」
叶野と上川「了解!!!」
日下部「ところで、灰間隊員はどうします?
教会にいる子供たちを守るとか言ってましたが・・・。」
大神「うむ。その子供たちも大勢浚われたら大変だ。
灰間には、そのままあの教会に残ってもらおう。
そこの子供たちを守る役として。」
時は過ぎ、夕日となった。
施設の部屋に戻った灰間たちと子供たち。天宮がいないそうだ。
灰間「なぁ。天宮さんは何をやってるんだ?」
灰間は男の子Aに聞く。
男の子A「うん。天宮お姉ちゃんはね。料理してるんだよ。」
灰間「料理?あいつ、飯も作れるのか・・・。」
大岩「おお!そうじゃぃ。天宮も料理は天下一品じゃけ。
おどれも食えば、わかるど。灰間。」
灰間「へいへい。」 野口「私、ちょっと手伝ってくる。」
野口が立ち上がり、部屋から出ようとする。
野口「いつも、天宮さん一人でやるのって大変だと思って。」
野口はそう言って出た。
女の子A「野口お姉ちゃん出ちゃったよ?」
灰間「安心しな。あいつも料理の天才だからよ。
それにしても、大岩。喧嘩好きでガラが悪いクセに、
よく子供たちとあのシスターさんと仲良くできたもんだな?」
大岩「ん?ワレ、わしが悪人だと今まで思ったんかぃ?」
灰間「・・・少しだけな。」
男の子B「大岩お兄ちゃんは悪い人なんかじゃない!!」
女の子B「だって、今まで私たちに優しくしてくれたもん!!」
大岩「おお。そうじゃのォ。・・・・実を言うとの。
わしも天宮も親を失ったんじゃぃ・・・。」
灰間「何・・・・っ!?」 灰間は大岩の発言に驚く。
大岩「おぅ。・・・つっても、わしには、まだ父が残っとる。
天宮には両親がいないがの。わしも天宮も、
怪獣災害で親を失ったんじゃ。」
大岩は微笑みながらも、少し切なそうな表情をしていた。
大岩「・・・わしには一人だけ親が残っとる。じゃが、
そのわしの父はおっどろしい腐れ外道でのォ。幼い頃のわしが、
何か失敗した時、よーく虐待したわぃ。わしはその父に怯えて、
どっかへ逃げたんじゃ。
そして、この近くの教会に初めて来たワケじゃ。
そこで、あのガキと・・・。
すすり泣いている天宮と出会ったんじゃ。
当時の天宮は失った親に会いたいっちゅー理由で、
教会に来たそうじゃけ。」
灰間「それが、
お前とあのシスターさんの出会いってワケか。」
大岩「そうじゃぃ。あの頃がとても懐かしい気がしてのォ・・・。」
大岩の過去の場面。雨の振る教会の前で、二人の幼い子がいた。
それは子供の頃の大岩と天宮であった。
二人とも、服がボロかった。
幼い大岩「お父さんとお母さんは中にいたかぃ?」
幼い天宮「ううん・・・。誰もいなかった。パパもママも、
やっぱりどこにもいなかった。天国にもいなかった・・・!
ううぅぅぅ・・・・・っ!」
天宮は座り込んで泣きじゃくっていた。どうやら、
既に教会に入ったらしいが、誰もいない事がわかり、
同時に父も母もこの世にはいない事を確信したのだ。
幼い天宮「私はもう一人ぼっち。誰も私の事・・・。」
幼い大岩「・・・じゃ、友達になろうや!」
幼い天宮「・・・・・え?」
幼い大岩「俺も君と同じ一人ぼっちなんや。
俺もお母さんはいないんじゃ。
お父さんはいるけど、あいつはとっても酷くて、
俺を育てる気なんかない。
だから、俺。幸せになろうとこの教会に来てみたんだ。」
幼い天宮「でも、そんな事したって幸せになれないよ・・・。」
幼い大岩「うん・・・。確かに、そうかも知れん。でも、
これだけはわかる。天国はきっとあるけ。」
幼い天宮「・・・・本当にあるの?」
幼い大岩「お母さんが死ぬ前に語ったから、きっとあるけ。
君のお母さんもお父さんも天国にいて、
君の事を見守っているよ。」
幼い天宮「本当?」
幼い大岩「本当だよ。俺のお母さんは嘘をつかない!」
大岩が笑顔でそう言うと、天宮は立ち、涙を拭いて笑顔になる。
幼い天宮「・・・ありがとう。友達になろ。名前は?」
幼い大岩「俺は大岩!大岩弦じゃ!!」
幼い天宮「私。天宮!よろしくね。大岩君!!
・・・私ね、決めたの。
私たちと同じ子供たちを育てるって。パパとママが、
可哀想な子供たちには優しくするように言われたから。」
幼い大岩「じゃ、俺はその子供たちを守る!」
そして、現在。
大岩「あれが・・・わしと天宮の新たな人生の始まりじゃき。」
つづく
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