ボトルズは銅色をした甲羅の10個を見て、驚いていた。
屋台のカメ「どうだぃ?大昔のカメの戦士たちが被っていた、
伝説の甲羅なんだ。それぞれ、戦いの傷があるのが見えるだろう?」
10個の甲羅はそれぞれ斬られたり抉れたりと傷ついた部分があった。
屋台のカメ「と言っても、これは俺の爺さんが、
大昔に再現させて作った作り物だがね。」
ボトルズ「でも、価値があると思います。だって、
大昔の戦士がいたって証明させるための存在ですもの。」
屋台のカメ「そうかぃ?他にも、一族が一番最初に造った大剣や、
魔獣の肉で造った壺、若いタンクタップ様が描いた絵図。
他にもいっぱいあるよ。いっぱい見てくれや。
100円で買っても良いんだぜ!」
ボトルズ「わかりました。でも、見るだけにします。」
バンジョーとカズーイは何かを屋台を求めるように歩き回っていた。
バンジョー「どこかにハチミツ売ってる店ないかなァ?」
カズーイ「もしかして、ないんじゃない?それより、
あたい。タマゴ焼きが食べたいわ。」
バンジョー「ああ。タマゴ焼きか。それなら、
あるって聞いてるけど、ハチミツがないんじゃなァ・・・。ん?」
その時、バンジョーとカズーイの前に、身体が少し大きく見えるが、
優男な表情をしているカメの青年であった。
右手にタクトらしき物を持っている。
優男なカメ「君たちだね。コッパ君を助けてくれたのは。」
バンジョー「そ、そうだけど・・・。あなたは?」
優男なカメ「僕はティップタップ。カメ族の音楽団のリーダーで、
近々行われるコンサートを発表する者です。」
カズーイ「ティップタップ?もしかして、
あんたがティップタップコーラス団!?」
ティップタップ「ええ。私がコーラス団の長にして、
指揮をやらせていただいています。私の指揮で、
子供たちは美しき歌声をあげる事でしょう。」
バンジョー「そうですか・・・。楽しみにしています!」
カズーイ「・・・・ねえ。あんた。確か、ティップタップって言ったわよね?」
ティップタップ「はい。それが何か・・・?」
カズーイ「その・・・タップって名前。タンクタップって、
じいさんの名前と同じ感じがしているんだけど?」
バンジョー「ちょっと失礼だぞ!?カズーイ!」
カズーイ「だって、気になるんだも~ん。」
ティップタップ「僕がタップの名を持っているのは、
僕が・・・タンクタップ様の息子だからです。」
バンジョーとカズーイ「む、息子・・・・!?」 二人はその発言に驚く。
そう。ティップタップはタンクタップの子供であったのだ。
カズーイ「で、でも・・・!親と子なのに全然、姿が違うじゃない!?」
確かに、茶色で4足のタンクタップと緑で2足のティップタップ。
親と子のハズなのに、容姿が違うのだ。
ティップタップ「心配なさらないでください。僕のお母さんは、
僕と全く同じ容姿をしていましたから、その遺伝子の方が大きくて、
こうなられたでしょう。でも、
そのお母さんが戦争に巻き込まれて・・・。」
ティップタップは悲しそうな表情をし始める。カズーイはそれに慌てる。
カズーイ「あっ!ご、ごめん。変な事を聞いちゃって・・・。」
ティップタップ「良いんですよ。僕は戦争で大切な者を失った者、
戦争で傷ついた者、戦争で荒んだ者。
そういった者たちをいやすために、
コンサートを開こうと思います。できれば、他の種族にも、
聞かせてあげたいです。それでは。僕は忙しいので・・・。」
ティップタップはゆっくりと歩いて去って行った。
バンジョーとカズーイは彼の背を切なそうに見ていた。
バンジョー「あのティップタップと言うカメさん。僕らと同じ、
この沼を平和にしたいと言う気持ちを持っていたんだな。」
カズーイ「音楽で全てが救えたなら、
あんな戦争はなかったかも知れないわね。」
ユミ、ミクス、ティックの3人はどこかへ向かおうと歩いていた。
ミクス「これから、どこへ行こうと言うのです。」
ティック「病院です。そこに、コッパ君がいるのですから。」
ユミ「大量のドラ焼きを持っているのは、彼にあげるため。」
ユミはワニ焼きを食べながら、そう言った。
ティック「ええ。コッパ君はドラ焼きが大好きだからね。
ワニ焼きとかよりも、ドラ焼きが良いと彼自身も言ったわ。」
ユミ「そう・・・。でも、コッパ。昨日はあれだけの激戦で、
傷ついたからね。今でもぐっすり眠ってるでしょうね。」
ティック「そうよね。ちょっと起こすなら大丈夫かな。」
そして、3人は病院へと入って行った。
病院の中では、
傷ついた戦士たちがそれぞれベッドの上で眠っていた。
コッパはベッドの中で横になっていたが、眼が開いている。
つまり、コッパは既に目覚めているのであった。
そこに、ティック、ユミ、ミクスの3人が入って来た。
ティック「おはよっ!コッパ。」
コッパ「ん!?ティックか・・・。って、お前らも来たのか。」
ユミ「ちゃお!コッパ君。」 ミクス「し、失礼します・・・。」
ティック「はい。ドラ焼きよ。いっぱい食べて、元気になりなさい!」
ティックはコッパの近くに複数のドラ焼きを置く。
コッパ「ちっ!余計な事をすんじゃねーよ。」
コッパは怒りそうに言うと、ティックは頬を膨らませそうに言う。
ティック「こーら。傷ついているあなたのために買ってやったのよ。
それに、今日は年に一度のお祭りよ?祭りくらい、
昔のように私と遊ぼうよ。・・・久しぶりね。コッパ。」
ティックは言ってる間に、
微笑んでいく。コッパは一つのドラ焼きを食べる。
コッパ「・・・・何が祭りだよ。戦争の最中だってのによ。
この沼はなァ。戦争しなきゃなんねーだろ?だったら、
祭りなんてしてるヒマはねェハズだ。それに、
他のカメたちが祭りってのを楽しめるかは不安だぜ。」
ティック「コッパ。クラッシャーとかに入っても相変わらずね。
そのひねくれたような感じは。でも、わかるわ。
あなたはこの沼の戦争が嫌いだって事が・・・。むしろ、
この沼の住人達が全員仲良くなって欲しいって事が。」
コッパはそれを聞きながら、ドラ焼きを食べ終える。
ユミ「そう。コッパって優しいのね。」
コッパ「あ?優しくねーよ。俺は。」
ミクス「優しいですよ。だって、この沼から、
戦争をなくして、全ての種族が仲直りになって欲しいんですよね。」
コッパ「・・・・・・っ。」 コッパはそのまま別のドラ焼きを食べる。
ティック「なのに、残酷な現実が多すぎて。あなたは昔、
それに負けて、この沼を去っちゃったんだよね。」
コッパ「こんなクソみてーな沼。誰が住んでたまっか。
わかったら、出て行ってくれ。俺は機嫌が悪いんだ。」
ユミ「あんた。ちょっと言い過ぎじゃ・・・!」
ティック「わかったわ。じゃあ、出て行くけど。もし、
良くなったら、好きな屋台に行っても良い。でも、
もしコンサートが始まったら、私が連れて行く。良いわね?」
コッパ「ちっ!勝手にしとけ・・・。」
ミクス「相当、荒んでますね・・・。」 ティック「・・・・行きましょ。」
こうして、3人は病院から出た。
ベッドで横たわるコッパの眼から一粒の涙が出る。
病院から出たティック、ユミ、ミクスの3人。
ユミ「何よ。あいつ。せっかく親切にしてるのに・・・!」
ユミはコッパの態度に苛立っていた。
ティック「良いのよ。あれで。本当はコッパ。
少しだけ嬉しそうだったから。」
ミクス「わかるのですか?」
ティック「ええ。私、コッパの気持ちを知る事ができるの。だって、
彼も私の気持ちを知ってるから。そう。あれは幼い頃・・・。」
つづく
[0回]
PR