福崎が元気のなさそうな声で言う。
野口の声『野口です。実は、
あなたに聞きたい事があるの。』
福崎「聞きたい事?」
野口の声『ニュースでも聞いたけど、
あなたがあの偽物のティアーズ・・・。
ダークティアーズだったわよね?』
福崎「そうだけど。だから・・・?」
野口の声『あなたはどうやって、
あのダークティアーズになれたの?』
福崎「・・・・・負の涙っつー紫色のペンダントがあってさ。
そのペンダントが光ると、
ダークティアーズに変身できた。
でも、変身してからの途中、
急に嫌な思い出だけが浮かび続けて、
物凄いストレスを感じて、
全てを壊し尽くしたいと思って、
暴れてしまったけどな・・・・。それ以来、
何だか全てがどうでも良い感じで、
もう暴れる気もなくなったよ。」
野口の声『そう・・・・。』
福崎「俺にそんな事を聞いて、
何の得があると思うの?
馬鹿なの?死ぬの?」
野口の声『・・・それだけじゃない。
ダークティアーズに変身したあなたなら、
あのウルトラマンティアーズの正体、
わかるかなぁ・・・と思って。』
福崎「・・・知りたい?あのティアーズの正体。」
野口の声『ええ・・・。教えて。あのウルトラマンの正体を。
どうしても知りたいの・・・。」
福崎「・・・・ウルトラマンティアーズの正体は、
灰間翔。学校で一番のミラクルマンだ。」
野口の声『やはり・・・そうだったのね。
やっぱり、灰間君がティアーズ・・・・。』
福崎「俺はあの時、
灰間がティアーズに変身しているところを目撃し、
ティアーズの正体が奴である事を知った・・・。
灰間は、
姫君の涙っつー赤いペンダントで変身できたんだ。
その姫君の涙と俺の持った負の涙は、
古代の時代で造られたアイテムらしい・・・・。」
野口の声『そうだったの・・・。詳細はわかった。
ありがとう。教えてくれて・・・。』
福崎「俺は得のねェ真実を話しただけだが?」
野口の声『・・・・早く良くなって、
学校に戻れると良いわね?
学校に戻ったら、友達になろ?待ってるから・・・・。』
こうして、野口は電話を切った。
福崎「・・・・無理じゃね?現実的に・・・。」
福崎は横になった。
だが、少しだけ笑みを浮かべていた。
次の日。灰間は学校へ行こうと家から出た。
灰間「行って来まーす!!」
美由紀「行ってらっしゃい。」
灰間が走っている時、鉄郎から声が出る。
鉄郎「翔!!」 灰間「・・・っ!?親父。」
灰間は止まり、鉄郎の方を見た。
鉄郎「お前はウルトラマンティアーズとして、
今までよく魔獣たちと戦ってくれた・・・。だが、
今回の敵は今までの魔獣とは違い、恐ろしい奴だ。」
灰間「ああ。超悪魔って奴だろ?あいつは、
確かに強かった。一瞬、死ぬかと思ったぜ・・・!
帰って、特訓しようと思う。
ウルトラマンとしての力を高めるために・・・。」
鉄郎「特訓か・・・。それも良いが、
ウルトラマンとしての力だけでは駄目だ。」
灰間「・・・・どう言うこった?」
鉄郎「ウルトラマンティアーズは確かに強い。
だが、そのティアーズの力だけで、
倒せない敵が現れる。その前に、ある物が必要だ。
灰間「それは・・・・?」
鉄郎「それは、人間としての力だ。」
灰間「人間として・・・?」
鉄郎「そうだ・・・。翔よ。お前は人間だ。
例え、ウルトラマンになれたとしても、
お前は正真正銘の人間であるのだ。
人間には、人間の力を持たねばならん。それが例え、
ウルトラマンに変身している時でもな・・・。」
灰間「そうだ・・・・。俺はあの時・・・。」
灰間はバキシム事件での出来事を思い出した。
それは、魔獣バキシムに敗北し、
ティアーズの力を高めようと、
特訓をしていた時に大岩と喧嘩していた頃である。
彼に勝った灰間はティアーズの力だけでは、
勝てない事に気づいた。
灰間(あの時、俺が得た戦う力。
それは、人間としての力なのか・・・。)
鉄郎「お前も一人の人間であるなら、
人間として戦え。
ウルトラマンとしてだけでなく、
同じく人間としてな。」
灰間「・・・・わかった。ティアーズの力だけではなく、
人間としての力と共に使って、戦ってみるよ。」
鉄郎「うむ。それで良い・・・。」
灰間「では、行ってきます!!」
鉄郎「行ってらっしゃい!
・・・勝つんだぞ。我が息子よ。」
大鳥学園のクラスに来た灰間。
灰間「おはよう。皆。」
森下「おっはよーう!翔ちゃん。」
徳丸「おはよっ!灰間君!」
野口「・・・・おはよう。灰間君。」
野口は灰間に向けて、優しい笑みを見せた。
灰間が席に座り、野口が話しかける。
野口「・・・灰間君。」
灰間「ん?何だ・・・?」
野口「これからも、友達でいてくれる?」
灰間「当たり前だろ?
俺たちはずっと一緒だもんな。」
野口「・・・・そうよね。」
徳丸「わお!!
さっそくラブラブモードに入ってるねェ!!」
森下「ひゅーっ!ひゅーっ!
お二人とも、最高だねェ!」
灰間「って、お前ら・・・。」
野口「あはははははは・・・。」
灰間と野口は頬を赤く染めた。
灰間(そうだ。野口。森下。徳丸。
お前らは俺の友達だ。
失ってはいけない大切な存在だ・・・。
お前たちがいる限り、俺は人間として戦える・・・!)
その時、教室が揺れ始めた。
生徒たちは全員が驚く。
徳丸と森下「あわわわわわわわわわわ!!!」
野口「な、何!?地震・・・・!!?」
灰間「地震じゃねェ・・・!魔獣が現れたんだ!!
しかも、この学校の近くに!!!」
大鳥学園の近くの地面が割れ、
そこから赤い魔獣が現れた。
その姿は少しだけ細い感じだが、
両腕が凄く屈強している。
しかも、その手には4本の鋭い爪が生えている。
目が5つもあり、顔が醜い人間のような顔をしている。
足が太く、バネらしい感じになっている。
尻尾が2本ある。
頭には6本の触手がある。
身体中に青い点が多くある。
赤い魔獣「ヴァアアアアァァァァァァァン!!!!!!」
その魔獣の口から、多くの子供の魔族たちの、
醜いギャン泣きの声が無数に出ていた。
この赤い魔獣の名はリムズン。
リムズン「ビエエエエエェェェェェェン!!!!!」
リムズンはさっそく大鳥学園へと近づこうと歩いた。
男子生徒「魔獣がこっちに来るぞおおぉぉぉぉ!!!」
女子生徒「いやあああぁぁぁぁ!!
殺されるううぅぅぅ!!!」
徳丸「どうして、魔獣がこの学校に!!?」
森下「どうして!?何で!?」
野口(まさか・・・!ティアーズが灰間君だから、
その灰間君を襲うために・・・・!?)
灰間(超悪魔め・・・!俺をこの学園ごと潰す気か!?)
学園へと近づくリムズン。その学園の中で、
ほとんど逃げ出そうと騒ぎ出す生徒たち。
リムズンから遠く離れた上空から、
ダークロイアが見ていた。
ダークロイア『行ケ。リムズン。
ウルトラマンティアーズノ正体デアル、
灰間翔ハ、コノ学園ニイル。奴ガティアーズトナル前ニ、
アノ学園ヲ早ク破壊スルノダ・・・・!』
リムズン「ユエエエエエェェェェェェェン!!!」
ダークロイアの命令を聞いたリムズンは学校へ近づく。
女子生徒「どんどん近づく!!」
男子生徒「に、逃げろおおおおぉぉぉぉぉ!!!」
クラスの生徒たちは一斉に逃げ出した。
野口「私たちも避難しましょ!!」
灰間たち「うん!!!」
灰間たちも、生徒たちに紛れて逃げ出す。
そして、廊下へ。そこに、日下部と大岩が。
灰間「日下部!大岩!!」
日下部「まさか、
この学校の近くに魔獣が現れるなんてね・・・っ!」
大岩「魔族の腐れ外道めェ・・・!
とうとう本気を出しよったき!!
良えやろ!魔族め!
この地球は渡さんど!!こりゃ!!
このわしが直々に命(タマ)をとっちゃるき!!
こりゃあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
大岩は物凄いスピードで走った。
日下部「BARに連絡しておいたわ!それまで、
うまく避難しておかなきゃ・・・・っ!」
野口「そうですね・・・・。では、早く外へ急ぎましょ!!
モタモタしてたら、魔獣に襲われてしまう・・・!」
リムズンはいよいよ学園に近づいた。
あと数秒くらいで打撃されてしまうだろう。
リムズン「エ”エエエエエエエェェェェェェェン!!!!!」
灰間たちは生徒たちと共に逃げていた。
灰間(魔獣がこの学園に近づいて来た。
このままでは、
遅いだろう・・・!こうなったら・・・・!!)
灰間は急に後ろへ向き、走り出した。
野口「・・・・っ!?灰間君!!」
野口も灰間を追うように走る。
日下部「あんたたち!!どこへ行くのよ!!」
そして、日下部も二人に付いて行くように走った。
しかし、徳丸と森下は必死に走っていて、
気づいていないようだ。
野口(灰間君・・・。
またティアーズに変身する気だ・・・!)
灰間は誰もいない教室に来て、
ペンダントを光らせた。
だが、それを窓から野口と日下部が見てしまう。
灰間「ティアーズ!!!!!」
つづく
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