そして、スクリーンに移る宇宙人が声をあげ始める。
宇宙人『我々ハ暗黒宇宙カラ来タ、クロネ星人ダ。』
星人は子供らしい声で喋る。だが、隊員たちは恐れを見せていない。
モモ「地球に来た理由は何なの?」
クロネ星人『モチロン、地球侵略ダ。宇宙ノ黒イ雲ハ実ハ、
我々ノ宇宙船ナノダ。物質ヲ変換シテ、形ノアル物ニシテ造ッタ。』
モモ「その宇宙船とやらは、一体どこへ?」
クロネ星人『フフフフフ・・・・。既ニ、地球ニ置イテアルワ。
我々ハマズグアム島ヲ占領シ、宇宙船ノ止マリ場ニシタ。
ソコカラ、全国ヲ攻撃スル。怪獣ダークロンヲ使ッテナ。』
コリス「ダークロン!?さっきフロリダを攻撃した怪獣か!?」
クロネ星人『ソウダ。ダークロンハ我々ノ使イダ。
モシ、我々ニ歯向カウヨウデアレバ、即座ニダークロンヲ送ロウ。』
コリス「・・・・何故、地球を侵略するんだ?」
クロネ星人『・・・・コノ星ニハ人間ト言ウ生キ物がイル。
ソレガ、オ前達。オ前達ハコノ星デ最モ残酷デ、
卑怯デ自分勝手ト聞ク。・・・・ト言ウ事ハ。
君達ハ近イ未来、宇宙征服ニ乗リ出シ我々ノ星ヲ狙ウダロウ!』
隊員たちはそれを聞いて驚愕する。そして、シュドーが怒って叫ぶ。
シュドー「勝手に決めるんじゃねェ!!俺達がそんな酷い事を、
するかってんだ!!そこら辺の宇宙人と一緒にしちゃぁ困るぜ!!!」
次にテブリッシュが冷静にハッキリと言う。
テブリッシュ「我々も多くの宇宙人にこの星を荒らされかけていた。
君たちはその経験をするのが怖いから、先に侵略しようと言うのか!?」
クロネ星人『イヤ、違ウネ。我々ハ宇宙全体ノ平和ヲ望ンデイルノダ。
ダカラ、立チノ悪ソウナ星ガ二度ト侵略デキナイヨウニ、
武力行使スルト言イワケダ。ソウスレバ、ソノ星ノ連中ハ、
モウ悪イ事ハシナイ。ドウダネ?素晴ラシイ行イダロウ。』
確かに、悪い事をした子をお仕置きする事で、その子は悪い事を、
しなくなるだろう。いわば、正義の鉄槌と言って良いだろう。
クロネ星人は地球人にその事をしているつもりだろうが、
そうではない。クロネ星人のやる事をコリスとモモは知っているのだ。
コリス「そんなの・・・・平和的な事じゃない!!」
モモ「あなたの言いたい事はわかるけど、
残念ながらあんたたちのやってる事は、ただの侵略よ。
自分たちの欲望だけに多くの星を支配しているだけでしょ?」
コリスが叫び、モモが冷静に語ると、
クロネ星人は怒りじみた声で返事する。
クロネ星人『愚カナ地球人メ・・・。コレダカラ、
君タチハ野蛮ナ人種ナノダヨ。9時間ノ有余ヲ与エル。
ソレマデニ、我々ニ降伏シロ。サモナクバ、
コノ星ノ生物ヲ、オール抹殺スルゾ。覚悟スルンダナ・・・。
ハッハッハッハッハッハ・・・・・・!!!』
星人は笑い声と共にスクリーンから消えた。
シュドー「けっ!だーれが降伏するかっての!!」
イチゴ「だが、このままでは済まないみたいだね・・・。」
サキ「でも、確かに私達人間にも罪はあるし・・・。」
テブリッシュ「隊長!何か対策を・・・・!!」
モモ「そうね・・・。一応、軍法会議を開いてみるわ。
そこで対策を考えておくから、それまで休憩ね。」
隊員たち「了解・・・・。」
モモは司令室から出て、会議へ向かおうと歩く。
だが、後ろからコリスの声が聞こえる。
コリス「姉さん!!」 モモ「っ!コ、コリス・・・・?」
モモは後ろの方のコリスを見て、立ち止まる。
モモ「どうしたの?こんなところで・・・・。」
コリス「・・・・話しておきたい事があるんです。」
モモ「話したい事・・・?」 モモはきょとんとする。
コリスはしばらく黙り込んで、少し緊張してこう言う。
コリス「・・・・人間は・・・・っ。人間は、
人間は夢なんて持つ気のない、悲しい生物なのですか?」
モモ「な、何を言ってるの・・・・?確かに、
人間は夢を持っていない人が多いけど・・・・。
どうしたの?いきなり、そんな事を聞き出すなんて・・・。」
コリス「・・・・亡霊の少女が、僕に語りかけて来たんです。
人間とは、自分のため都合のために、
平気で罪のない人から夢を奪うと・・・。僕、見たんです。
怪獣に襲われそうで泣いている子供が。でも、
自衛隊の人は助けてくれませんでした・・・。」
モモ「・・・・そんな事があったなんて・・・・。」
コリス「姉さん・・・。人間ってそんな自分勝手な人が多いのですか!?
もう・・・わからなくなって来たよ。人間をこのまま守って良いのか・・・。」
コリスは苦悩して悲しんだ。自分だけのためなら、
他人なんて見捨てる。
そんな冷たい人間の味方でいても良いのかと・・・。
もし、人間が悪の存在だったらコリスは諦めるかも知れないだろう。
モモ「・・・確かに人間はずるい。自分の事しか考えない奴が多い・・・。
私はそんな奴を多く見た事あるわ・・・・。」
そう。モモはずるくて自分の事しか考えない人間と多く会ったのだ。
戦争を楽しむ男。ニンジン畑を荒らす工員たち。
核ミサイルで戦争する国々。
北の国で巨木を売って金儲けしようとする者など・・・。
皆、他人の夢を踏み躙る戯け者であった。だが・・・・。
モモ「・・・・それでも、私は頑張ったわ。人間たちが、
夢と希望を取り戻す事を信じて・・・・。それでも、
現実では無理だと思うけど・・・・。」
コリス「・・・・・・・っ。」 コリスは悲しそうな表情をする。
モモ「・・・・でもね、コリス。人間はそんな悪い奴ばかりじゃないわ。
中には夢を持っている人や優しい人だっている。
その人たちとあなたもそれを知ってるハズよ。思い出して。」
コリス「・・・・・っ!」 モモの言葉を聞いたコリスは思い出す。
サキを初めとするDGCの仲間たちや、今まで出会った、
夢を持つ人や優しい人たちの事を。
人間には確かに、悪い者だらけではない。
コリス「・・・・・でも、その同時にずるくて自分勝手な人たちも・・・・。」
だが、コリスの脳裏に、ずるくて自分勝手な人たちの事を思い出す。
そんなコリスを見たモモはため息をする。
モモ「はぁ・・・・。良い?コリス。人間では、
いろんな人が多いの。良いのと悪いのとに分かれて当然よ。
皆、一人一人が違っているの。夢もそうよ。
でも、コリス。それはあなた自身が見切らなきゃいけないのよ。」
コリス「見切らなきゃいけない・・・?」
モモ「そうよ。あなたは人間全体をまとめて見てるそうね。
私から見れば・・・。
人間が悪い事したくらいで、全ての人間が悪いと思ってるの?」
コリス「そ、それは・・・・。あぃて!」
戸惑うコリスに、モモが彼の額にデコピンを打つ。
モモ「まだわからない?つまり、人間と言うものを一人ずつ見ろって事よ!
誰が良いのか、誰が悪いのか。それは自分で決めなさい。
もっと信じるべきよ。人間と言うものを。疑ったら駄目だから・・・・。」
モモはそう言うと、すぐに歩き出しコリスから離れた。
モモ「最後に言っとくけど!どんなハプニングがあろうとも、
人々の夢と希望を取り戻させる事を忘れない!
それがあなたの使命よ!!」
モモは歩きながらコリスにそう語った。
そして、廊下でコリスは一人になった。
つづく
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