そこの店内・・・・本屋で、少年は春日にこう聞いた。
少年「ねえ・・・。これから、どうするつもりの?」
春日「ん?言ったでしょ?好きな物を買って良いって。」
戸惑いそうな表情をする少年に春日は微笑んで応える。
少年「でも・・・・お金、何円あるの?」
春日「そうねェ・・・・。9万円くらいならあるわ。」
少年「じゃあ・・・。買っていいんだね。」
春日「ええ・・・・。」
少年「お姉さんのお金・・・なくなっちゃうかも知れないよ?」
春日「それでも良いわ。あなたが幸せになれるなら・・・・。」
現在の春日(こうして・・・・。私は少年に好きな物を買ってあげたわ。
ゲームも、漫画も、お菓子も・・・・・。)
現在の光次郎(優しいのですね。たった一人の貧しき少年を助けるために・・・。)
現在の春日(ええ。だってもうこれ以上、私のような人を増やしたくないから・・・・。)
現在の光次郎(そうですか・・・・。)
こうして、少年の欲しい物を複数買ってあげた春日は少年と一緒に、
店内のマクドナルドで食事をとっていた。二人ともてりやきセットらしい。
春日「・・・・・ねえ。僕。」
少年「・・・・・僕じゃない。俺の名は、高次(こうじ)って言うんだ。」
春日「そう・・・。私の名は春日。なんで、あの時、
雨の中であんなところに座り込んでいたの?」
高次「・・・・俺、いつも独りぼっちだったんだ。両親にも嫌われ、
周りの人にも。まるで、俺はこの世に存在してはいけないかも知れないんだ。」
春日「・・・・存在しなくても良い人間なんていないわ。」
高次「え・・・・?」
春日「だってあなた、生きているじゃない。だから、どんな困難でも、
あなたは生きなければならない。」
高次「でも・・・僕には助けてくれる人も支えてくれる人もいない。」
春日「・・・・じゃあ、私がなってあげる!!」
高次「え!?あ、あなたが・・・・!?」
春日「ええ・・・。これからは私があなたの友達よ!!」
高次「・・・・・うん!!」 そして、高次は笑顔になった。
二人は笑顔でゆめタウンから出た。雨が降っているので、
春日は傘を使う。傘は一つだけなので、春日と高次がその傘の下にいる。
現在の春日(こうして、私に始めての友達ができると思った。でも・・・・っ!!)
現在の光次郎(でも・・・・どうしたんです!?)
現在の春日(急にガラの悪い高校生と出会った。その人たちは、
いつも高次君をいじめていたそうなの。そして、奴等は、
急に私をどつき、高次君のために買った物を全て壊していったわ。)
高校生「けっ!!女に甘えて欲しいもん買ってもらうとは、なっさけねーの!!」
「だから、お前はいつも弱虫なんだよ。」
「お前は弱虫らしく一人寂しく一生を終えて、地獄に落ちれば良いんだよ!!」
「馬鹿!!あほ!!カス!!死ね!!」
そして、高校生たちは去った。高次のために買った物が全て、
高校生たちに潰され、ゴミとなってしまった。高次はこれを見て泣きじゃくる。
高次「ううう・・・・!うう・・・・うううう・・・・・!!」」
春日「こ・・・・高次君・・・・・。」
高次「やっぱり俺には無理だったんだ!!友達を作る事も!!
幸せに生きていく事も!!うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
高次は泣きながら走り去って行った。春日が心配して、彼を追いかける。
春日「ま、待って!!高次君!!!」
現在の春日(私は絶望のどん底に突き落とされた高次君を追った。
そして、私は最も恐ろしい敵と初めて出会ったわ・・・・。)
現在の光次郎(恐ろしい・・・・敵・・・!?まさか!!)
春日は高次を追い続けていた。しかし、途中で彼が消えたために。
懸命に探していた。そして、ビルとビルの隙間のところでついに見つけた。
春日「高次君・・・・・!っ!!?」
その時、春日はついに見てはいけない物を見てしまった。
高次が悪魔の翼を生やした美少女に抱かれてそうだからだ。
悪魔の少女「ねぇ、君ぃ。ずーっと寂しい思いをしたでしょ?」
高次「うん・・・・。俺はもうこんな寂しい人生はウンザリなんだ・・・・。」
悪魔の少女「でもね。もう一生苦しまなくて済むわよ。
私はね。あなたを助けに来たの。このうず汚い世の中からね。」
高次「あなたは・・・・僕に優しくしてくれますか・・・・?」
悪魔の少女「ええ。ずーっとずーっと、あなたの望みを叶えて・・・あ、げ、る。」
悪魔の少女は唇を高次の頬に近づける。春日は動揺し、どうすればいいか迷っていた。
春日「こ・・・・高次君・・・・!?」
悪魔の少女「私はミスティー・デビルス。これから、あなたをデスナイトへ、
連れて行ってあげるわ。そこであなたは楽して暮らせるわ。一生ね・・・・。」
そう。この悪魔の少女こそが、ミスティーデビルスなのだ。
高次「うん・・・。そこへ・・・連れてって・・・・。」
ミスティー・デビルス「くす・・・・っ。」
そして、ミスティーは翼を広げて、羽ばたかせた。
ミスティーは高次を連れて、空へあがりそのまま飛び去った。
春日「こ、高次君!!高次くうううぅぅぅぅぅん!!!!!!!」
高次はミスティーによってデスナイト基地へ連れて行かれてしまった。
春日「デスナイト・・・・。一体、何なの・・・??」
そして、現在。
春日「それが・・・私が始めてデスナイトの名を聞く時であった。
あの悲劇な出来事以来、デスナイトによるテロ事件が多発するようになったわ。
私はそのデスナイトと戦う事で、高次君の行方を追っていた。
けど、高次君は既に死んでいたわ。ブラック・アタッカーとして、
悪事に働いている内に、他の隊員に撃ち殺されたと記録されている・・・。」
光次郎「それで、春日隊長はこれ以上、高次さんのような人を、
増やさないためにも、デスナイトから人々を守っていたんですね。」
春日「ええ・・・・。それで私はいつの間にか隊長になった。
隊長になった私は問題児であった隊員を立ち直らせた事もあった。」
光次郎「もしもあかりと出会わなかった頃の僕・・・。それが、高次さん・・・。」
春日「そうよ。あなたに高次君のような不吉が起こらなかった事を、
あかりさんにしっかりと感謝する事ね。人生はね、
常に分かれ道なのよ。幸せと絶望の選択肢・・・・。
それは、人の心次第で決まる事なのよ。」
光次郎(幸せと絶望の選択肢・・・。もし、僕があかりさんと出会わなかったら、
高次さんと同じ目にあってしまうのだろうか・・・・。)
光次郎は一瞬だけ苦悩に近い感覚を感じた。そして、心の中でこう呟いた。
デスナイトは人間の弱き心に漬け込み、次々と同志にしているのかと。
もし、そうであれば、邪悪な彼らをこれ以上放っていくワケにはいかない。
その邪悪なデスナイトの対日本攻撃支部のメインルームでは、
桐原が腕を組み、目を瞑って何か考え込んでいた。
ダークネス・セイバー「あの・・・・。支部長。」
桐原「っ!?何だ・・・・?」
ダークネスに呼ばれた桐原は目を開き、彼女の方へ向く。
桐原「ん?ああ・・・・。どうした、ダークネス。」
ダークネス・セイバー「間もなくウッディーがご到着します。」
桐原「うむ・・・。」 そして、二人の前にある男が現れた。
その男は口元に青いマスクをして、頭に髪などなかった。いわゆるハゲ。
黒いコートに身を包んだ男であった。こいつこそが、ウッディーであろう。
ウッディー「元オーストラリア支部のウッディーにございます。」
桐原「ウッディーよ。貴様はミスティーデビルスのマスターと言う事は知っている。
さっそく奴を呼んで来い。」
ウッディー「は。ミスティー!!!」
ウッディーがそう呼びかけると、ミスティーが飛んで出てきた。
ミスティー・デビルス「はあぁぁ~い♪マスター。」
ミスティーは降りて、すぐにウッディーに抱きつく。
ウッディー「ミスティーよ。今回の収穫はどうだったかね?」
ミスティー・デビルス「申しワケございませえぇん。3人なら捕らえましたが、
一人だけSSPに邪魔されて、捕獲できませんでしたぁ。」
ウッディー「おお。そうかそうか・・・・。」
ミスティー・デビルス「お詫びに、私の身体をいやらしく壊してくださいいぃぃ~っ。」
ウッディー「おっほほほほ。いいだろう・・・。」
ダークネス・セイバー「っ!?・・・・・っ。」
ダークネスはそれを聞いて、一瞬だけ桐原の方を見て、赤くなる。
桐原「SSPの奴等に気づかれたそうだな。それで、ミスティーよ。
例のあいつらは殺したな??」
ミスティー・デビルス「ええ。殺したいましたぁ♪」
桐原「ああ。では、明日から活動を強化せよ!!」
ウッディー「はっ。」 ウッディーはミスティーと一緒にメインルームから出た。
桐原「・・・・ダークネス。」
ダークネス・セイバー「・・・・な、何でしょうか?」
桐原「ミスティーデビルスは、確か人の弱い心に漬け込むんだったよな?」
ダークネス・セイバー「え、ええ・・・。ですが、あなたは・・・・。」
桐原「ああ・・・・。俺はお前に救われたっけ・・・。
それから、俺とお前は家族のようなもんだった・・・・・。」
これは桐原の過去の時。とある明るい部屋で、玩具で遊んでいる男の子がいた。
この男の子は幼い頃の桐原であった。彼の手にはウルトラマンの人形があった。
この頃の桐原はまだ子供なので、おおはしゃぎをしていた。
ダークネス・セイバー「零さん。お菓子持って来ましたよ。」
ダークネスはクッキーとジュースを持ってきた。
桐原「あ!わーい!ありがとう!!ねぇねぇ、ダークネス!!
その前に、一緒に玩具で遊ぼうよ!!!」
ダークネス・セイバー「はい。まずはどれから遊びましょうか?」
桐原とダークネスは一緒に怪獣の人形で遊んでいた。
その時の二人は笑顔で幸せだった。あの極悪非道な二人が・・・・。
桐原「僕ね!大きくなったら、デスナイトのリーダーになるよ!!」
ダークネス・セイバー「ええ。なれると良いですね・・・・。」
桐原「僕、リーダーになったら、ダークネスを幸せにするね!!」
ダークネス・セイバー「っ!幸せ・・・・?」
桐原「だって、ダークネスはいっつも僕に幸せをくれたんでしょ?
だから、僕も大きくなってダークネスに幸せをあげるの!!」
ダークネス・セイバー「・・・・・っ!零さん・・・・!!」
ダークネスは嬉し涙を流して、桐原に抱きついた。
そして、現在。
ダークネス・セイバー「・・・・あの時、幸せと言う言葉を知らない私を、
あなたは教えてくださった・・・。だから、私はあなたをお守りしています。」
桐原「いや。その幸せを俺に知らせてくれたのはお前だ。
・・・・なぁ。俺のやってる事って、間違っているワケねぇよな・・・??」
ダークネス・セイバー「ええ・・・。間違ってなどいません・・・・。
(そうだ。私はあなたが好きだ。あなたを罰す者は誰だろうと・・・・っ!!)」
桐原「俺は・・・・人間たちを許さない。俺を捨てた愚民たちをなァ・・・!!!」
ダークネス・セイバー「ええ・・・!殺しましょう。全ての愚民どもを・・・・!!」
高町邸。光次郎がベッドの上で眠っている。だが、
光次郎は何故か魘されているみたいだ。彼は今、どんな夢を見ているのだろう?
その夢の中では、光次郎が暗闇の中では走っていた。
つづく
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