光次郎たち3人は階段を上り、3階につく。そして、廊下を急いで走り、
302号室のドアのところについた。
光次郎「ここに桜ちゃんが・・・・・・・。」
野沢「っ・・・・・・・・。」
清水「入るわよ。」 清水がドアを開け、3人は302号室に入った。
302号室はいわゆる病室である。そこに、ベッドの上で眠っている桜の姿があった。
その姿はあまりにも無残であった。まるで、身体全身に包帯を巻いているようであるが、
顔などは露出していた。今の彼女には笑顔と言う表情がなく、眠っていた。
口にはマスクを付けてあり、それで、呼吸する事により、生きているか確認されているようだ。
光次郎「っ!!?さ・・・・・桜ちゃん・・・・・・?」
光次郎が驚くまでもない。大切な人がこんな目にあってしまったからだ。
光次郎「桜ちゃん!!!」
光次郎は桜に近寄った。野沢や清水も彼女に近づく。
光次郎「桜ちゃん!!桜ちゃん!!!」 光次郎は何度も彼女の名を叫ぶ。桜に目覚めて欲しいからだ。
清水「落ち着いて、光次郎君。」
光次郎「これが落ち着かずに入られますか!?桜ちゃんが・・・・・・・!!」
野沢「・・・・・大丈夫だよ!桜ちゃんは・・・・・・桜ちゃんは・・・・・・。」
野沢が切なそうに言う。彼女も桜が死ぬわけないと信じているからだ・・・・・。
清水「とにかく、看護婦が今、月野の容態を調べているわ。
でも、月野の怪我がとても重症だった場合、元通りになる事は・・・・・・。」
光次郎「そ・・・・そんな・・・・・・・!」
野沢「なんでこんな事言うの!?」
清水「私だって、月野には生きて欲しい・・・・・。でも・・・・・現実はどうなるか・・・・・・!」
清水は震えている手を握り締め、悲しげな表情をしていた。彼女も桜を心配しているのだ。
野沢「し・・・・清水さん・・・・・・・。」
光次郎「・・・・・桜ちゃん・・・・。」
一方、高町邸の和室では、あかりがメイド服を脱ぎ、全裸で布団で横たわっていた。
しかし、あかりは呼吸しづらいように喘ぎ、胸を押さえ込んでいた。
どうやら、マリオネット回路に限界が近づいてきたようだ。
あかり「あっ。あぁ・・・!ああ!!あ。あ・・・。あ!ああ・・・あう!あ!はぁ・・・っ!」
そして、あかりの左胸のクリスタルから電気が放電されている。クリスタルからも悲鳴をあげているようだ。
あかり(も・・・・・もう・・・・駄目・・・・・!もうすぐ・・・・・私・・・・私・・・・・・!!)
胸の苦痛に苦しむあかりの目から涙が流れ始めた。
しかし、その苦痛が終わることなく、徐々にショートしている回路から煙が少し出ていた。
一方、春日と日向隊長はSSP本部にいて、そこの廊下を一緒に歩いていた。
どうやら会議は既に終わっていたらしい。
日向隊長「・・・・・・結局、会議は終わり、デスナイトの日本支部の攻撃は決定されましたわ。
ですが、私は何か不安があるのです。前のシャーマニック・ツァルトが出現した日、
マリオネット・ライターは何故か苦しそうでした。胸に苦痛を感じてるように見えました。」
春日「ええ。あなたもその戦いを見たのですね。私たちも確認してあります。
それにしても、彼女が胸に苦痛を・・・・・。ん?そういえば・・・・・・・・。」
日向隊長「なんでしょうか?」
春日「秋田学園の卒業式の日で、時々胸を痛むと言う女性がいましたね。
確か・・・・・あかりさん・・・・・だっけ・・・・・?」
日向隊長「そうですか・・・・あかりさんと言う女性ですか・・・・・。あかりさん・・・・・・。
あかりさん・・・・・・?まさか・・・・あのあかりさんですか!?」
春日「っ!?いきなりどうなさいましたか?日向隊長・・・・。」
日向隊長「もうお会いになりましたのね・・・・・!あの人に・・・・・!」
春日「え、ええ・・・・・。あの娘の事・・・・知ってますか?」
日向隊長「ええ。・・・・あの人は・・・・・実は・・・・・・!」
一方、デス・ナイト日本支部のアジトでは、佐野山が柴の話を聞いていた。
佐野山「そうか・・・・・・。浅倉とデンジャラス・アタッキーが、
マリオネット・ライターを探して抹殺しようと・・・・・?」
柴「はい。デストロイ・スラッシャーからの話によれば・・・・・。」
佐野山「クククククククククク!悪くはないだろう。ジェノサイド・シーザー!」
ジェノサイド・シーザー「はい。」
佐野山「ついに、お前もジャンボ・アップする時が近づきつつある。
さあ、さっそく準備に取り掛かるのだ。」
ジェノサイド・シーザー「了解。必ずやこの世界をあなたの物にして差し上げます・・・・・・!」
ジャノサイド・シーザーと佐野山は笑みを浮かべた。かなりの余裕の表情と言っていいだろう。
佐野山「そうだ。ついでにデストロイ・スラッシャーにも攻撃命令を出すとしよう・・・・!」
ジェノサイド・シーザー「残りのジャンボロイドはどうしましょうか?」
佐野山「うむ・・・・・・。他のジャンボロイドか・・・・・・。彼女たちの数はもはや、
少数だからな。それに、あの者たちの性能は弱い。この基地の防衛をさせておこう。
もし、デンジャラスアタッキーがマリオネットライターを倒せた場合、
もはや我々を妨害する者はいなかろう・・・・・ふふふふふふふふふ!!」
ジェノサイド・シーザー「ですが、SSPがこのアジトに攻めて来る事があります。」
佐野山「ふっ。その時は頼んだよ、相棒w」
ジェノサイド・シーザー「お任せを・・・・・。」
佐野山「たとえ、私が死のうとも、奴が私の後を継いでくれる・・・・・・!
後の奴の戦力が楽しみだ・・・・・はっはっはっはっはっはっはっはっは!!」
とある街では、桐原が歩いていた。しかし、彼は空を見上げながらこう呟いていた。
桐原「・・・・・・ついに来るか・・・・最後が・・・・・・・・・・・・。」
病院の302号室では、光次郎たちが桜を見ていた。そこに、医者の先生と二人の看護婦が来た。
光次郎「っ!先生・・・・桜ちゃんは・・・・どうなるのですか!?」
光次郎は先生にいきなり聞く。すると、先生は冷静にこう言った。
医者の先生「うむ。・・・・・この娘の体は・・・・とてつもなく、壊れている。」
光次郎「壊れているですって!?」
野沢「まさか・・・・・・・!!」
医者の先生「うむ。恐らく、最悪な場合、死ぬかもしれん。」
光次郎&野沢「っ!!!?し・・・・・死ぬ・・・・・・?」 二人はこれを聞いて驚き、震える。
清水「・・・・・・桜の容態はどうだったんですか?」 清水は冷静に先生に聞く。
医者の先生「・・・・身体中がまるで殴られたかのようだが、酷い重症であります。
そのせいで、彼女の身体中の骨はほぼ折られています。特に・・・・・・。」
医者の先生はそう言いながら、レントゲンの写真を光次郎たちに見せた。
どうやら、桜の胸の骨が写されていた。しかし、デンジャラスアタッキーに殴られ続けたせいか、
彼女の胸の骨が粉々になってるかのように見えた。
光次郎たち「っ!!???」 3人はこれを見て、さらに驚いた。
医者の先生「特にこの胸が酷くやられている。ここの骨がやられたあげく、
内臓にも影響が出ているはずでしょう。それによって、呼吸することはもちろん、
心臓の動きにも問題が・・・・・・。」
野沢「そ・・・・それじゃ・・・・桜ちゃんは・・・・・!?」
医者の先生「まだわかりません。ですが、今は安静が必要なのです・・・・。それでは・・・・・。」
医者の先生がそう言うと、二人の看護婦とともに、部屋から出て行った。
光次郎はゆっくりと桜に近づき、両手で彼女の手をとる。
光次郎「桜ちゃん・・・・・ごめん・・・・・・・。」
光次郎の目から涙が溢れた。
光次郎「本当にごめん・・・・・・・!さっき、君が僕を信じてくれたのに・・・・・・!」
光次郎の頭に公園での桜の言葉がよぎった。
桜『私は・・・・あなたを信じている。もし、私がピンチになった時に助けてくれるって・・・・。』
光次郎「でも・・・・・できなかった・・・・・・!僕はやっぱり駄目人間なんだ・・・・・!
信じてくれた人を裏切ってしまう・・・・・昔だって・・・・・今だって・・・・・・・・。
でも、ごめん。僕は・・・・・君を守れなかった・・・・・・。守ることができなかったんだぁ!!」
野沢「光次郎君・・・・・・・・・。」 野沢も涙を流し、清水も目から一粒の涙を流す。
光次郎「でも・・・・・・死なないで・・・・・!僕も・・・・・君に恋しているんだ・・・・・・。
真奈美ちゃんにも恋したけど、彼女はもう死んでいるんだ・・・・・・。
だから、生きて。生きて・・・・・・もう一度、僕の顔を見て・・・・・・・!」
光次郎は涙を流しながらそう言った。そこに、清水が彼の肩に触れ、優しくこう言った。
清水「・・・・・・優しいんだね。光次郎君。その優しさなら、きっと・・・・月野も元気になるはずよ・・・・。」
光次郎「うっ・・・・ぐす・・・・・・。でも・・・・僕は・・・・・・・。」
野沢「・・・・・責めなくてもいいよ、自分を・・・・・。あなたは今でもこうして涙を流して、
桜ちゃんを心配してくれてるじゃない。だからね・・・自分を責めないで。
信じて、自分の優しさを・・・・・。そうすれば、きっと桜ちゃんもわかってくれるよ。」
野沢が笑顔でそう言うと、光次郎はさらに、涙を流して応えた。
光次郎「はい・・・・・・。わかりました・・・・・・・。うう・・・・っ。」
野沢は光次郎に近づいて、彼にハンカチを見せた。
野沢「さ、涙を拭いて。」
光次郎「はい・・・・・・・・。」 光次郎は野沢からハンカチを貰い、それで涙を拭いた。
清水「・・・・・どうやら、あなたの優しさが・・・・光次郎君に勇気付けたかも知れないわね・・・・・。」
野沢「そんな清水さんも優しいじゃない。だって、あなたもちゃんと涙を流しているもん。」
野沢の言うとおり、清水の目から涙が流れていた。清水はこれに気づき、手で涙を拭こうとする。
清水「っ・・・・・・・。」
野沢「桜ちゃんもきっと思ってるわ。皆が笑顔で幸せでありたいって・・・・。
だから、私たちも・・・・笑顔にならなきゃ・・・・・・・。」
清水「・・・・・ええ。一番優しいのは、月野だからね・・・・・。」
光次郎「・・・・・桜ちゃん・・・・・・。僕は・・・・・・・!」
光次郎は手を握り締める。どうやら何か決心をしたらしい。そして、彼は清水の方に顔を向く。
清水「?」
光次郎「清水さん・・・・・いえ、清水隊員。僕を・・・・・SSPに入れてください!!」
清水「光次郎君・・・・・・・。」
野沢「じゃあ・・・・本当に私たちと一緒に・・・・・・・!」
野沢が言ってる途中で、急に清水の携帯電話が鳴り始めた。清水は電話をする。
清水「こちら、清水。」 どうやら相手は春日であるらしい。
春日『清水、野沢。二人とも、至急、基地に帰って。大事なお話があるらしいわ。』
清水「わかりました・・・・・・・。」 清水は携帯電話を切った。
野沢「何かあったの?」
清水「うん・・・・・。光次郎君。」
光次郎「はい。」
清水「ごめんなさい。急に基地に戻らなきゃいけなくなったの。悪いけど、
今はまだ君を基地に入れる暇はないと思う。」
光次郎「それでもいいんです。僕も・・・SSPに入隊できるのが今すぐなんて思ってませんから。」
野沢「ごめんね。もし、君がSSPに入隊できたら喜んで歓迎してあげるからね。」
光次郎「はい・・・・・・。」
清水「いつかは必ず、君がSSP隊員になれるように隊長に相談してみるわ。
行きましょ、野沢!」
野沢「はい!!そうだ、光次郎もこの病室から出るよね?」
光次郎「はい。・・・・・・桜ちゃん、ごめん。また来るから・・・・・・。」
3人は病院から出て、清水と野沢は基地へ帰ろうと走り、
光次郎も家に帰ろうと彼女たちとは違う方向へ走った。
光次郎(・・・・・・・・あかりさん・・・・・・。) 光次郎はあかりを心配していた。
一方、秋田町では、浅倉とデンジャラス・アタッキーがついに高町邸の前に来た。
つづく
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