野口「何か・・・。元気がなさそうだけど・・・・。」
灰間「いや。何でもない。ちょっと・・・色々とな。」
野口に続いて、森下や徳丸も話しかけてくる。
森下「もしかして、家族で何かがあったの?」
徳丸「お母さんと喧嘩とかしたのかぃ?」
灰間「喧嘩はしちゃいねェ。ただ、その母親が、
ちょっと仕事の都合どこかへ行っちまってよ・・・。」
森下「明日は帰ってこれるとか?」
灰間「まあな。」
徳丸「もし、寂しかったら、僕たちに任せてよ。
何でも手伝うから!」
野口「そうよ。灰間君。私たち、友達だもの。」
灰間「ああ。ありがとな。(いかん・・・。こいつらに、
本当の事を言っては駄目だ。
こいつらを巻き込むワケにはいかねェ。)」
学園での時間は終わり、灰間は最後まで、
野口たちに本当の事を言わず、BAR基地へと向かおうとした。
町の道路を歩き続ける灰間の脳裏に、あの魔獣の声が響く。
グランテラの声『ウルトラマンティアーズ・・・・。』
灰間「っ!?てめェはあの時の・・・!」
グランテラの声を聞いた灰間は立ち止まる。
グランテラの声『友達に真実を語っていないな。良い事をした。
もし、その真実に関して、相談でもしたら、俺たちは、
あの連中を殺さなきゃいけなかったからね。
時限爆弾と発信機は持っているな?
そのまま、BAR基地へ向かい、
工作作業に入れ。誰にも気づかぬ内にな。』
灰間「そうすりゃ、母さんは本当に返してくれるんだろうな?」
グランテラの声『俺は嘘をつくのが嫌いだ。正々堂々と返そう。
貴様が俺の課した使命を見事にクリアすればな・・・。』
そして、灰間は走った。急いでBAR基地へと向かうために。
灰間(日下部・・・。大神隊長・・・。皆。すまねェ・・・!
けど、母親の命には変えられねーんだよ・・・!!
BARの科学なら、いつかは復活できるハズだ・・・・!
それを信じて・・・。しばらくは許してくれ!!)
薄い青の空間。そして、不気味な霧。その中で、
美由紀がいた。美由紀は今、眠っているままで、
一本の木でロープに縛られていて、動きが取れない。
美由紀「・・・・・っ。はっ!!」 美由紀は急に目覚めた。
そして、自分は今、どこにいるのか混乱しそうになる。
美由紀「こ、ここは・・・・・!?ひっ!?」
その時、
美由紀は目の前に何者かがいた事で驚く。その者は、
グランテラであった。ただし、姿が陰に覆われてほぼ見えない。
よく見れば、人間と同じサイズをしている。
グランテラ「キギギギギギギン」
美由紀「ば、化け物・・・・!?」
グランテラ『ついに目覚めましたな?灰間のお母様。
私はグランテラ。あなたをここへ連れて来た者です。』
美由紀「な、何故・・・!このような事を・・・!!」
グランテラ『人質になってもらっているんだよ。あんたは。
でないと、息子が俺の言う事を聞かないからな。』
美由紀「な、何ですって・・・!?」
グランテラ『これを見たまえ。』
美由紀の前に、ある映像が浮かんで来た。その映像には、
BAR基地へと走っている灰間がいた。
美由紀「しょ、翔・・・・!」
グランテラ『ふふふふふ・・・・!息子には、
BAR基地を爆発させる仕事をさせているのだよ。そのために、
あんたを人質にした。息子はあんたを助けるために、
BARを全滅させようとしているのだ。
地球全体ではなく、あんただけをね。』
美由紀「そ、そんな・・・・!?翔!!駄目よ!!
そんな事をしては・・・・!お前はBARの一員のハズよ!!
そのBARの一員がBAR基地を破壊しようなどと・・・・!」
グランテラ『無駄だよ。あんたの声は息子には届かん。』
美由紀「私はどうなっても構いません・・・!だから、翔。
悪事を行うのはやめて!!私の事は良いから、BARとして、
立派に戦い続けて!!あなたは強い子。親がいなくても、
立派に育っていけると私は信じています。だから・・・・っ!」
美由紀は泣きそうになる。それを見たグランテラは笑い始める。
グランテラ『あははははははは!!!これが地球人の親子愛か。
けど、無駄だよ。その親子愛で、俺たち魔族が、
この地球を侵略する事を諦めるワケないじゃないか。』
グランテラはそう言って、美由紀の頭に触れる。
美由紀「・・・・・・・っ!」
とうとう灰間はBAR基地へと入った。
灰間「とうとう来たぜ・・・。」
灰間はポケットの中に手を入れる。中に時限爆弾があるのだ。
その時、日下部が灰間に話しかける。
日下部「あら。灰間。今日は何か一番早いわね。来るのが。」
つづく
[0回]
PR